2009/03/06

『ひとりでは生きられないのも芸のうち』内田樹


 世の中の様々なことを、斬新な切り口で分析している。
例えば父親に育てられた子どもと
母親に育てられた子どもの違いについて。

父親は、群れの中で一番を目指す教育を施す。
一方母親の子育ては、群れの中でなるべく目立たない、
いわゆる「ふつう」になることを目的としている。

その理由は、父親は今いる社会が根底から覆されること、
例えばシマウマの群れの中に突然ライオンが現れるような状況、
を念頭においていない。
だからその囲いの中で少しでも上を目指そうとする。
反対に母親は、秩序が崩れることを常に念頭においている。
(意識しているいないにかかわらず)
というのは、どんな状況においても種を生き残らせるためである。
そのため、個性の「悪目立ち」しない「ふつう」を目指すのである。

他にも、少子化、働くということ、共同体の作法等について
興味深い視点で書かれている。
内田さんの著書に共通している隠されたテーマというものがあるとすれば、
「欲しいものは与えることでしか手に入らない」
ということである。
文章を読むとある程度その人となりがわかるが、
この本を読んで、
とても優しい受けとめ方をしそうな人だという印象を持ったのは
やはりそういう空気がこの本の中に含まれているからだと思う。

ついでなんで内田樹さんのブログも紹介しときます↓
内田樹の研究室


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